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国連に加盟するためには、当事国が国運憲章に定められた義務を受諾して国運加入の意思を国連に対して申詰することが前提となりますが、それだけではもちろん加盟国となることはできません。国連によってそれが承認されることが必要になります。国連憲章によると、国連加盟国となることの承認は、安保理事会の勧告に基づいて、総会の決走によって行われることとされています。安保理事会では五大国を含む九理事国以上の賛成が必要であり、総会では出席し投票する国の3分の2以上の賛成が必要だということになります。安保理事会では五大国の拒否権の壁を突破しなければなりません。安保理事会にせよ、総会にせよ、国運加入に関する各国の判断の基準は、申請国が国家であり、しかも平和愛好国であるかどうか、憲章上の義務を受諾し、かつこの義務を履行する意思と能力とを持っているとみとめられるかどうかであり、それ以外の基準で判断することは許されないこととなっています。1948年に国際司法裁判所が示した勧告的意見でも、これらの要件以外の他の条件を要 求できないことが述べられています。しかし安保理事会も総会も、いずれも政治的な機関であり、その構成メンバーは政治的権力主体たる諸国家の代表です。そこでの行動が高度の政治的配慮によって動かされるのは当然であり、そのような行動様式に歯どめをかける制度的保障は国連憲章のどこにもありません。実際に国連の創設以来、加入問題は単純な手続間題ではなく、常に重要な政治問題の位置を占めてきたと言えます。
国連は、原加盟国51力国で発足しましたが、1955年に16力国の一括加入が実現するまでは、46年にアフガニスタン、アイルランド、スウェーデン、タイ、47年にパキスタン、イエメン、48年にビルマ、49年にイスラエル、50年にインドネシアの計9カ国が加入したたとどまり、その他の多くの国は安保理事会の段階で、多数を得ないか、拒否権に遭うかして、必要な勧告を得ることができませんでした。47年ポーランド代表が、ハンガリー、イタリア、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの五力国全部の加入の勧告を安保理事会で提案したとき、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアは西側諸国の反対のため、当特必要な票数であった7票を得ることができず、イタリアとフィンランドはソ連の拒杏権行使によって否決されました。差別待遇の政策や不公平な傾向は放棄されなければならないというのがソ連の反対理由であり、ソ連はこれらの諸国の同時加盟を主張しました。この段階での同時加盟は、東西対立のため相互に拒否されている加盟承認を、同時に認めることによって解決する方式を意味していたのでした。
1955年には、とのような同時加盟方式によって、一挙に16国の加盟が実現しました。この年の総会では18国加盟案を承認していましたが、安保理事会で中国が突如としてこれに韓国と南ベトナムを加える修正提案を行いました。ソ連がこれを受けいれるはずはなく、ソ連は韓国と南ベトナムについで拒否権を行便し、ついで中国が蒙古人民共和国について拒杏権を行使したため、残る13国に対してソ連が拒否権を行使し、18国一括加盟案は頓挫しました。しかしその直後ソ連は日本と蒙古人民共和国を除く16国加盟案を提出し、結局それが可決されたというのが経緯がありました。それ以後の国連加入間題は比較的的順調に進んだといってよく、73年10月11日、バハマと東西ドイツの加盟が決定し、国連加盟国は135国に達しました。70年10月、国連総会でグロムイコ・ソ連首相は、東西ドイツの国連加盟を支持すると演説し、71年9月、ウ・タント国連事務総長は、分裂国家の国運加盟が72年中に実現するがもしれないと述べましたが、73年6月に発効した東西ドイツ間の基本条約は、両独の国連同時加盟に決定的ステップとなり、安保理事会は満場一致で加盟勧告案を可決しました。総会はこれらの経緯に基づいて加盟の承認を決走したのでした。こうして分断国家の国連加盟も現実化しました。

お金

お金と社会的貧困

生産と消費とが巨大化して豊かな社会になれば、公共的サービスヘの必要と欲求はますます強まりますが、私企業による生産の拡大に比べて、公共的サービスの充足向上が、はるかに立ちおくれること。個人の力だけではみえすことのできない基本的な欲求や必要、家計、住宅、病院等健康関連、育児、教育、輸送、道路、エネルギーや水の供給等を社会的な投資にもとづくサービス提供によって満していくのが公共的サービスにほかなりませんが、お金は私企業経済の方に流れて公共的部門はなおざりにされ、私企業生産の拡大はいっそうそのギャップを拡大するという結果をもたらします。このように杜会的にみたされるぺき集団的欲求が充足されぬ状況に、社会的貧困、社会的アンバランス、お金の豊富なかの貧困などのことばがあてられています。

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